To the moon and back.

関西在住30代OL。日々のつれづれをぼちぼち綴ってます。内容は、お買い物ログ・婚活のやきもき・仕事のあれこれ・読書記録・雑記(ただの日記)多め。

モラハラクソ男と付き合った話【中編】

この記事は中編です。次は後編と書いたけど予想以上に長くなってしまったので。

人生でこんなにクソという単語を使ったことないわ。

 

【前回のあらすじ】プリキュアのBGMを流して読んで下さい

私、晴(はる)は今をときめくアラサー女性っ★ひょんなことから、再会した高校の同級生・クソ男(くそお)と付き合うことに!でもね、このクソ男、とんでもない『モラハラ』男だったようで…!?時間だけが流れてく…私の人生、一体どうなっちゃうの~~!?次回、『人生で一番最悪だった旅行』!!滅びろ!クソモラの森!!!!(どーん)

 

rosecosmos.hatenablog.com

 

心のすれ違いを感じるものの、修復方法がわからず、五里霧中だった私。

起死回生の一手として、私はある計画を立てた。―一泊二日の旅行だ。

普段は1日遊んで終わり、ということが多かったため、旅行に行けば、多少は変化をつけられるのではないかーそれに、まだ私の中には純粋に「恋人と旅行したい」という気持ちがあった。この淡い期待は、あっという間に砕け散ることになるのだが。

ともあれ、何とかクソ男のスケジュールを抑え、ある温泉街への旅行計画を練った。

※関係性でいうと、この頃にはクソ男から日々のLINEなどの連絡はなかなか来ない状況になっていた

 

期待を裏切らない、行きからのクソ事案

旅行当日。現地までは電車で行くこととなった。

久々に会うし、私は初めて行く観光地だったこともあり、ウキウキしていた。

駅で待ち合わせ、座席に乗り込む。行く場所は決まっているといえ、詳細のプランは練っていない。いろいろ考えなきゃ~と思っていたら、列車が発車した。

クソ男は横で、リュックからおもむろに雑誌を取り出した。そして、無言で読み始めた。多分「日経〇〇」みたいな全部ビジネス系だったように思う。

 

うん。……え、今読む?横に彼女がいるのに?

発車して5分も経ってないですけどー。。

 

私の心の動揺を知ってか知らずか、読み進めるクソ男。今なら言える。相手と居心地よい関係を築こうとする努力をしないクソとは、すぐさま縁を切れ(せめて、タイミングを考えろ)。

私の視線にこたえようとしたのか、クソ男はこう述べた。

「忙しくて読めてないから家から持ってきた。あ、読む?」

ナチュラルにこう言ってのけ、一冊を私に差し出した。おおぅ…。興味はあるよ。ビジネス本。…でも、今じゃないだろ。

 

もうどうでもいいや、と無視してスマホをいじっていたら、しばらくして「あ、ヤバい」と思ったのか、クソ男は「現地ついたらどうする?」と言ってきて、ようやく旅の会話がスタートする(こういう時に態度を変えるやつは大抵クソ)。いくつか候補を決めたのちに「あ、旅行代」と言ってクソ男が封筒を差し出してきた。私が旅程を予約したので、まとめて支払っていたのだ。割り勘したらこの金額だから、当日持ってきてねと伝えていた。

封筒を受け取る。ちらりと中身を見ると、想定以上の諭吉が「ヘイ!」と顔を出していた。

「こんなに旅費高かったっけ?一泊二日でしょ?もらいすぎだと思うんだけど」

私が言うと、「ええねん、ええねん、もらっとき」と謎のマウント。

結局そのお金は無理やり返したけれど、何となくいやな感じが残った(今なら言える。金を多めに出しときゃ何とかなるというマウント野郎である。もしくは万札を気にしないほど稼いでるというマウントだったのだろうか。マウント・オブ・クソ)。

 

文句しか言えないただのサル

これは小話程度に書くが(小話ってなんだ)、とにかくクソ男は文句を言い続けていた。

現地に着いて、雨。残念ながら2日間雨のようだ。それに文句を言う。

途中下車した駅前の商店街が、思ったよりもシャッター街で、それに文句を言う。

挙句の果てに、とりあえずここに入ろう!と私が決めて昼ご飯に入った店で、自分が思っていたご飯が提供されなくて、文句を言う(明石焼きが食べたかったけど、たこ焼きが出てくるお店だった、という感じだ)。じゃあお前が決めろ(最終決定権を丸投げして文句を言う。すがすがしい、クソらしさが表出する事案なので、心に留めておいてほしい)

 

今思うと、よくこんなサルと付き合えたものだ。いや、サルと言ったらサル界隈の皆様に失礼だろう。生きとし生けるものに例えたら、罰が当たるな。

 

 

心が壊れる音

ここからは若干シリアス?になります。たぶん。

 

何やかやで、ようやく目的の温泉街に到着。何とか気を持ち直そうと、地元の動物園に入った。たくさんの生き物たちに囲まれ、展示を進んでいく。

途中、水槽の前に大きな体重計が鎮座していた。説明曰く、動物たちの体重を知ろう!という趣旨のもの。子供たちがはしゃぎながら乗ったり座ったりしていた。

その子供たちが次の展示コーナーに移りかけた時だ。クソ男は私に向かってこう言った。

「(体重計に)乗ってみれば?」

にやにやしながら聞いてくる。その体重計は、巨大な電光掲示板があり、しっかりと〇〇.〇㎏まで赤字で主張してくれるものだった。いや、…ないわ。

「いいし。自分が乗ったらいいやん。」

スルーしようとするが、引き下がらない。

「いや、乗れよ」

「いいって」

私が頑なに拒むのは、大勢のファミリーがいる人前で体重を晒されたくないのはもちろん、当時激務で体重が増え、太ったことを気にしていたからだ。クソ男にはその話をしていたので、私が体重を気にしていることは無論知っている。そして、クソ男はその話を知りながら、「自分がスリム体形である」ことを私によく自慢していた(クソが。ただの痩せ型である)。

こいつ、わざと体重計に乗せようとしてるな。…いくら鈍感でいたくても、その嫌なニュアンスは十分に受け取れた。

「嫌だってば」

思わず語気が荒くなり、あろうことか、私たちはちょっとした引っ掴みあいの喧嘩の様相になっていた。本当にはた迷惑な入館者である。この場で謝罪申し上げたいくらい…。

クソ男は私にこう言い放った。

 

「なんや。おもんない女」

 

その瞬間、私の中で心が壊れる音がした。

これは比喩や誇張ではない。本当に「ぽきっ」という音が聴こえたのだ。

 

 

人間は、怒りに震えると一切の感情を失うらしい。私は顔から表情を失って、ただ動物園を歩くbotと化した。クソ男はしばらく気づいていなかった(クソほどの知能しかないようだ)が、ある程度ゾーンを歩み進めて、「晴が全く応答しない」「声をかけても無視」「表情が無い」と気づいたようだ。間もなくして、焦っていた。何とか私の機嫌を戻したいらしい。

もうこの時点で、私には機嫌とかどうでもよかった。とにかく帰りたい。この旅行を早く終わらせたい。心が死ぬ。何のために私はここにいるんだろう。そんなことしか考えていなかった気がする。

 

今思えば、ここでもう宿とか、行程とか、すっ飛ばして帰れば良かった。今の私ならそうするだろう。でも、ぎりぎり残っていた理性(宿泊施設に迷惑かけちゃいけないとか…)が、何とか私を踏みとどまらせた。別に、その理性はなくてもよかったとは思うけど。

最悪の思い出の動物園。次に行くときは、ちゃんと生き物を愛でるからね。

 

そんな調子だったから、温泉に入ったりして持ち直したものの、心はふさがっていた。一応、何とかテンションをあげて(当時の私よ、いじらしいわ。でも、無理しなくてもよかったんだよ!)それなりに観光名所を巡ってみたりもしたものの、クソ男は宿に入ったらまた私を無視して漫画を読み始めたりして(行きの列車と同じである)、私は堪忍袋の緒が切れた。結果、泣きながら思いの丈をぶつけたが、結局何も通じることはなく、こんなクソと一夜を共にしなければいけないことに絶望して、布団をまるかぶりし寝たことは覚えている。正直、このあたりは混沌としていて記憶がない。明日が来ることも嫌で、このまま寝たら自宅に戻っていないかなあと思ったことは覚えている。

 

翌日

起床して、私は旅行がまだ続いていることを悟った。そして、「とりあえず早くほっとしたい」という思いで、旅行を遂行することにした。クソはクソらしく置いてきぼりにして帰れば良かったのだが、列車の時間とか色んなことを考えていたら、置いてきぼり案は頭から抜け落ちていた。私はどこまでいっても、悲しいほど理性的なのだ。

 

機械的に観光名所をめぐり、その温泉地のみを堪能する。今思うとどういう神経だったのか、自分でも不明だ。ただ「これ、友達ときたら絶対楽しかっただろうな」と何度も思った。何が楽しくて、クソのよちよちツアーガイドを務めなければならないのか。

 

クソは続くよどこまでも

結局、お互いに話し合い、帰りの時間を早めることにした。雨も降っているし、電車が遅延しているという情報が出ていたため…という理由を付けていたけれど、お互いにもう別れたがったんだろう。14時台に現地を出発するという、(一応)カップルの旅行とは思えぬ早さである。

 

予定より1時間早い列車に乗ろうと切符を変更した。だがそのあと、アナウンスが流れた。「ただいま、〇〇線で人身事故が発生したため、約1時間の遅れが出ております」

おお、ナイス判断だったのではないか。そう思いながら、来ていた普通列車に乗った。

 

しかし、ここからが地獄だった。

 

ローカル線だったため、電車が全く動かない。そして普通列車を選択したため、たくさんの乗客が乗ってくる。徐々にすし詰めになり、座席には当然座れない。缶詰状態で、動かない電車で待機することになったのだ。いらいらし始める乗客たち。私も足が棒になりかけて、意識もあまりなかった。仕方ないことではあるが、私たちの旅行を暗示しているようだ…と思った。

結局、元々2時間半弱で自宅に到着する行程を、在来線を遠回りして乗り継ぎに乗り継いで、なんと6時間以上立ちっぱなしで帰る羽目になった。クソ男のあとをふらふらになりながら着いていく。何の修行なんだ、これは。

 

途中、印象に残ったことがある。立ちっぱなしでいた私たちの前の座席が偶然空いて、ありがたく座ったのだが、クソ男はすぐに「よかったらどうぞ」と近くの婦人に声をかけて、席を譲っていた。普通なら感心だね、という話なのだろうが、私からすれば「その優しさがあるのなら、普段から私にも人間として接しろや」としか思えなかった。

今ならこう思う。モラハラ男の典型として、人前では物凄く感じがよい、評判が良い。クソ列伝を並べ立ててきたこのクソ男も、そのタイプだった。現に、学校や職場ではそれなりに評価されてきていたし、だからこそ私も付き合ってみようかなと思ったのだ。モラ男は、人の前だけではいい顔をするのだ。でも、自分の手中に収まった人間に対しては、ハラスメントしか起こさない。

 

長々と書いたが、こうして私の人生最悪の旅行は幕を閉じた。

後編に続く。