To the moon and back.

関西在住30代OL。日々のつれづれをぼちぼち綴ってます。内容は、お買い物ログ・婚活のやきもき・仕事のあれこれ・読書記録・雑記(ただの日記)多め。

私はここにいる「カムフロムアウェイ」観劇

産前最後となると思われる観劇(今年前半あまり観たい演目がない、後半に集中してばかりだ…ムーラン・ルージュウィキッド、ビリーエリオット…)に。ミュージカル界のアベンジャーズが集結したと言われていた「カムフロムアウェイ」。3月にできたての新劇場、SkyシアターMBSへ!ピカピカで綺麗だったし、二階席でもしっかり見えてすごく良かった!

9.11後の世界を描くブロードウェイミュージカル、日本初演。演劇ファンが多そうだなと思っていたが案の定、2階席でも周囲は自分含めオペラグラス保持者ばかりで笑ったw

感想は…本当に、息つく間もない100分で。パンフレットには「これは9.12の物語。登場人物は誰も泣いてはいけない。お涙頂戴の物語ではない」と書かれていた。12人のキャストが100人近い役を演じるというかつてない試み。製作発表時は「無名の群像劇だからこそ物語の意味を成すので、日本で豪華キャストでやったら意味がない」と言われていたそうだけど、これはこれであり。登場人物が変わりすぎて、いい意味で主役がいない。ソロナンバーがほとんどなくて、全員で歌う場面が多いのも新鮮。最後の10周年パーティーの場面は泣いちゃったよね…。

小学生だった私でさえ覚えている、9.11のショッキングなテレビ映像、新聞の一面。その裏で、たまたま別の機に載っていた人たちが進路変更を余儀なくされて、カナダの小さな街へ非常着陸する。実話ベースとあってリアリティがある。身構えなくていいシーンが多いけれど、集団パニックの様子や人種差別の様子は、実際見ていて辛かった。路頭に迷った人たちが一番に求めたのは、食料でも衣服でもなく電話だった、という場面も。

歌唱では繰り返し「あなたはここにいる、私はここにいる」というフレーズが使われる。単純には現在地を示す言葉だけれど、今ここにいる意味、現地にいなくてホッとしてしまう罪悪感、少しでも役に立とうと身を粉にして働く街の人たち。人に絶望することも希望も持つこともある、そんなことを考えさせられる演目だった。キャストの方々も、9.11のみならず自然災害が多い日本という国では、3.11や能登半島地震、また正月の飛行機事故を思い浮かべる人もいるでしょう、と語られていた。私はここにいる、だからできることがあると信じる力をもらえるような演目だった。意外とカーテンコールもあっさり終わったけれど、それくらいがいいのかもしれない。