To the moon and back.

関西在住30代OL。日々のつれづれをぼちぼち綴ってます。内容は、お買い物ログ・婚活のやきもき・仕事のあれこれ・読書記録・雑記(ただの日記)多め。

Aのポテンシャル

仕事中、上司に用事があり声を掛けた。少し話をした後、上司が少し声を潜めて言った。

「Aやってん」

「えっ?」

急なことで戸惑ったが、すぐに分かった。上司が告げる。

「さっき会議で言われた。びっくりしたけど、良かった~!」

「ほんまですか⁉うそでしょ?…でも嬉しいですね」

私がゴリゴリブログにも書いてきていた、職場のCS評価の速報値が出たのである。年に一度大々的な調査があり、それに向けて(もちろん調査だけでなく良い状態を続けることが重要なのだが)日々取り組んできていた。結果は、1年前に取ってしまった最低ランクのEから、最高ランクのAランクにぎりぎり滑り込んでいた。驚いた。

「正直、Aに届いているとは私は思えないですし、理想とはほど遠いですけれど…良かったー!」

「希望が見えたと思わへん?そりゃあ、いつもAだとは思えないけど、Aの瞬間もあるってことやん。それって、先が見えたよね」

上司の明るい声に、私も頷く。正直言って自己評価はDくらいだったけど(笑)、だからこそ年始から気合いを入れて様々なチャレンジをしていた。だから、純粋に嬉しかった。Aになるポテンシャルが、あるってことだ。

「これを励みに、引き続き頑張ります」

「その通り。ああ、私もたまにはいい事あるわ…」

上司は笑っていた。CSに関してはいつも上司は、経営層から怒られてばっかりだったので。

捨てる神あれば拾う神あり、とはこのことかな。私が今の職場に着任したのは1年前。だから昨年のCS評価のEは、正直知ったこっちゃないし!と思ったものだが(笑)、何だかんだもがいたおかげで、ちょっとだけ希望が芽吹いたのではないか。私の今年度の考課表に記載されている業務課題「リーダーとしてのCS向上」、バッチリ達成したから給料上げてくれるだろうか…一人プチ祝賀会ということで、帰りにコンビニでケーキを買った。 

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★本日の一冊★『ロボットは東大に入れるか』新井紀子(2014)イースト・プレス
ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)

ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)

  • 作者:新井紀子
  • 発売日: 2014/08/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

とても面白かった!

本書を読むまで、『ロボットは東大に入れるか』研究のことを「何だかキラキラした、未来の夢のある研究」だと思っていた。だが、読後は違う感想を持った。「自分たちにも関わることだな」、と。

そもそもこのプロジェクトを始めたのは、人工知能の技術の進歩によって未来がどうなっていくのかを知るためだと著者は述べている。よく「2030年にAIに取って代わられ消滅する仕事」が取りざたされるが、本プロジェクトでは今まで想像もしなかった新しい仕事に対して、人間の変化が追いつけるのかという重要なテーマに焦点が当てられている。「東大に入れるのか」という純粋な興味関心だけでなく、その先の自分たちの未来の生活を知る手掛かりになるんだなあ。

最終章で、このような話が出てくる。大人になって、技術についていける人間だけが仕事にありつけるのでは、という不安に対して。

”「優秀な」人間だけが生き延びるなんて、ハッピーじゃない。それでは国は成り立たない。誰かが勝ち逃げすれば幸せになれる訳では無く、みんなで幸せになれる方法を考えなくてはだめ”という著者の強いメッセージに心打たれるものがあった。これって、今でいうSDGs的な考えだよね(本書の出版は2014年)。一昨日読んだ某本では「AIを使う側になれ」という著者の主張があったが、私が某本に違和感を抱いたのはまさにこの点だろう。仕事が無くなるかもしれない、という漠然とした不安の中身を知り、解決できるかを探るという研究者の方々の姿勢に頭が下がる。

本書は単純に読み物としても面白い。AIが苦手とするのはイラスト問題だそうだ。人間が何となく見分けがつく「犬っぽい」「猫っぽい」という判断も、AIではかなり苦労するらしい。本書に写真付きの例題が載っており、へええっと思った。「なんとなくこっち」という感覚は、一番人間らしいそうだ。コンピュータには難しい曖昧さが、人間の機微なのかも。

また第2章では、実際に東ロボくんが受験した代ゼミ東大入試プレの試験結果が掲載され、代ゼミの先生が概評を載せているのが面白い。「苦手分野は〇〇のようです」「今後の傾向と対策」までユーモラスに記されているのがおかしかった。

こんな本を読んでいたら、進路が変わったかもなあ~。大学時代も科学技術系の本を好んで借りていたしな。人工知能というトピックに触れてみたい人に、オススメしたい本だった。