先日、やっと積読状態になっていた「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読了した。ベストセラーの評判の通り、本当に素晴らしい本だった。
心に残った点はいくつもあるけれど、この物語の主人公ともいえる著者の息子さんが言った、「他人の靴を履いてみること」という表現がすきだ。
サイズが合わない靴を履いたら、きっと痛みを伴う。その痛みに感情移入することが”empathy”なのだ、と。
自分とは異質な他者の心情をどれだけ理解しようとするか…それが如実に表れているのが今の世間の状況だと思う。10万円の一律給付に関しても、世帯主に振り込むとニュースの報道で知った時、「いや、それで世帯全員に行き渡るとお思いですか?」という感想しかなかった。DVの被害を受けた方々が受け取れる?といった、その施策からこぼれ落ちてしまいそうな状況の人を、どれだけ想像できているのか。
だからこそ、今、もっと勉強をしたいと思う。自分にできることはちっぽけだけれど、今ほど「知る」ことが力になる時代は無いと思うのだ。知ることで、他者への共感や想像力のレベルがちょっとずつ上がる。それは螺旋階段のようなもので、どこまでいけばゴールということはないけれど、気がつけば社会をよりよく知る、よりよくすることができるんだと思う。
先述の本では、イギリス社会でたくましく生きる息子さんもさることながら、母であり著者のブレイディさんの応答も素晴らしかった。私が母親だったら、こんな風に受け答えできるだろうか…?と思うような、何だか理想的で、素敵な親子関係だった。いや親子というよりも、澄んだ目で社会を見た、一対一の人間の会話だ。
まだ読んでいない方は、おこもり生活のお伴として、ぜひ一読を。