To the moon and back.

関西在住30代OL。日々のつれづれをぼちぼち綴ってます。内容は、お買い物ログ・婚活のやきもき・仕事のあれこれ・読書記録・雑記(ただの日記)多め。

エモエモのエモ話

「エモい」という言葉がある。前回のブログで青春時代の部活動を振り返り、「自分にエモいと言える思い出はあるか?」をふと考えてみて、そんなのあるっけな…と思ったら、あった、あったわ。私の中ではかなりエモい度ランキングが高い、思い出が。しかも割と最近。

 

これは丁度1年前のこと、私は、予備校時代から知っている大学の同期の結婚式に参列した。新郎新婦共に知り合いなので楽しみなのは勿論、人には言えなかったが、もう一つドキドキしていたことがあった。それは、昔好きだった人が同じ結婚式に出席すると分かっていたからだ。結婚式の半年前、二人からの招待状が来た時「出席」にマルを付けながら、出席するということはあいつに会うんだなあ、と妙に緊張したのを覚えている。

 

簡単に説明すると、私が予備校時代に好きだった彼と、件の新郎が親友同士だったのだ。1年間の浪人生活が終わり、大学進学時に私は告白して振られたので、サクラサクはずの大学生活はめちゃくちゃに失恋を引きずりながらスタートさせることとなった(笑)。彼は私とは別の大学に進学し、何といっても振られた理由が1週間前に彼女が出来たから(しかも私の知り合いだった)ので、お互いに連絡を取ることなく時間だけが過ぎていった。

予備校時代の儚き恋が良い思い出へと昇華され、3年程経った頃、彼から唐突に連絡が来た。私を気遣う内容と、良かったらご飯でも行かない?という誘いだった。びっくりしたし、メアド残してたんだな(当時まだLINEは無かった)という謎の感慨があった。もう恋心は無かったけれど、会ってみたいなと思って焼肉に行く約束をした。何を隠そう久々の対面の日は、就活の第一希望の最終面接の日だった。(よく考えたら私、リクルートスーツで会ったんだな…せめて着替えても良かったのでは、という気がするがw)。最終面接でこてんぱんにやられて傷心だったが、夜の楽しい予定を思うと頑張れた。

どぎまぎしながら久々に会って、近況報告をしながら、会ってみたら思ったより普通に喋れるやんと思った。だがあまり記憶が無いので、やはり緊張はしていたんだと思う。彼曰く大学生活はとても楽しいらしいが、彼女とはだいぶ前に別れたと言う。予想以上に盛り上がって酔いも回り、店を出て二人で散歩をしていると何だかちょっといい雰囲気になってしまったのだが、もう私は3年前の私ではない。帰り際、煮え切られない彼を駅の改札で問い詰めた。「さっきのあれ、どういうつもり?」(あれ、は自由に想像して頂きたいw)と。すると予想を飛び越えた答えが返ってきた。「好きだ」と。

はあ…?今日久々に会ったところやないか?と思いながら、断れない自分がいて、私は変わらず好意があるんだなあとぼんやり思った。とりあえず考えさせて、と言って私は別れた。

で、ここまではいい話なのだが、その後考えた末に彼を呼び出し、「付き合ってもいいかも」と返事をしたら、「無かったことにしよう」と言われる。そうだった。彼は純真でいわゆる”いいやつ”なのだが、人の気持ちが分からないところがあった。そして人を傷つけたことに自分で傷つく人だった。じゃあ最初からすんなや。

そこから、私は久々に激怒した。3年前の失恋を思い出し、さらに今回は自分から好きと言っておきながらこの仕打ちかい!と言いながらキレにキレ(笑)、二度と会いたくない的なことを言った後、先述の彼の親友(新郎)に怒りの愚痴電話をした。親友は神妙に聞いてくれ、彼に釘を刺してくれたらしい。親友よ、板挟みにさせてごめんよマジ。反省しているとか何とかを伝聞で伝えてきたが、私の腹の虫は収まらなかった(余談だが、この一件の愚痴をひたすら聴いてくれた男友達がいて、何やかんやでその人が2年後私の彼氏になった。人生どうなるか分からないもんだ)。

ここまでが大学生活のほろ苦い思い出。以降は本当に何も連絡を取っていなくて、親友の新郎くんも私に気を遣ったのか、私にあまり情報を与えることは無かった。で、今回の結婚式で久々に会うことになったのである。

 

 

結婚式当日、会場が関東だったので、朝早い新幹線に飛び乗った。ひたすら眠いし新幹線の背もたれでセットした髪が崩れそうだったけれど、「うわー、彼どんな風になってるんだろうな」と妄想した。

妄想に留めたのは、私は当時付き合っている彼氏がいたからだ。彼氏がいるのに、昔好きだった人に会う!と周囲に言うのはあんまり褒められたことじゃないし、彼にも申し訳ないという気持ちがあったので、一人で思いを抱えながら友達と会場入りした。

 

そして、会場入りしてすぐ、私は彼を見つけてしまった。

 

挙式までの時間、私たちは待合室のような部屋に押し込められたのだが、その中の少ないテーブルで、幼馴染と思われるグループで談笑している彼を発見したのだ。彼も、微妙に私の方向を見ながら視線が泳いでいて、私に気づいているようだった(私が自意識過剰だったのかもしれないが)。私は大学時代の仲間と一緒に居て、お互いに決して交わることがなかったけれど、めちゃくちゃどきどきした。うわー、変わってないな。

さらに挙式会場ではバス移動だったのだが、シャトルバスなので非常に狭い。私と友人は最後の方で、中央の臨時席(折り畳み式になっているアレです)に座ることとなったのだが、斜め向かいに彼がいた。まあまあ近い。喋っていないのにすごく緊張した。何で私は人の結婚式で、こんなにドギマギしないといけないのか。

その後、挙式も披露宴もずーっと同じ空間にいた。さすがに披露宴のテーブルは離れていたが、新郎の思い出写真の中に出てくる彼を見てどきっとしたりしていた。自由時間、極力離れた場所に居られるようにスペースを空けながらも、彼の顔を盗み見ていた。

ここまでくるとまだ引きずっているのかという感じだが、私は付き合っている彼氏のことが大好きだったし、一ミリも恋愛感情は無かった。でも、気になるものは気になるのだ。

 

披露宴の最中、新郎新婦へ送るメッセージボードが設置され、テーブルごとに書きに行くことになった。彼のテーブルが先に書いていたのは見ていた。私はメッセージを書くふりをしながら、人生でも三指に入る速読能力を発揮して彼のメッセージを盗み見た。そこには、

”結婚おめでとう。こっちも仲良くやってます。末永くお幸せに!”

みたいなことが書かれていた。

邪推すると…結婚したか、未婚だけれど彼女がいるのか。風のたよりで関東で暮らしていると聞いたから、彼が都会の喧騒の中で彼女と一緒に仲睦まじく暮らしている様子を想像した。左手に光るものがあるのか確認できるほど、私は近くにはいられなかった。それが今の関係の答えだ。良かったねえという寮母のような気持ちと、見なけりゃ良かったかなあという、ほんのちょっぴり失恋したような気持ちが交じり合った。私はこの人に何回失恋させられたら気が済むのか。

 

以降は静かに、結婚式が終わるのを待った。向こうも近づいてくることは無かった。思えば、最後に会ってから7年程の月日が経っていた。初めて会ってからは、10年以上だ。彼のいない二次会(大学時代の同期のみで開催された)でぼんやりしながら、ああ人生って、こんな風に交わったり交わらなかったりするんだなあと思った。

 

 

 

という、オチも何もない話なんだけれど、予備校時代に彼からもらった誕生日プレゼント(※友人としての)はまだ実家に眠っている。何度も書くが別に恋愛感情は無いし、もう会うことはきっと無いだろう。そう思うのだけれど、自分の部屋の机の引き出しに収まっているそのプレゼントをたまに見ると、何とも言えない気持ちになる。交わした会話や、一緒に帰った道の風景とか、彼のクセのある字体も何となく覚えている。はあ、これが、いわゆる「エモい」ってやつね。